なぜ手作業にこだわるのか?甲手編①
2021.03.09
なぜ手作業にこだわるのか?
甲手編です。
今回は甲手頭作りで話をしていきます。
甲手は拳の形に作っていきたいので、平面を立体にしていきます。
その為に長さの違うパーツを縫い合わせていきます。(①の黄色い部分)
長さが違う為②や④の様に余りが出るので少しずつ調整しながら縫い合わせていきます。そうすることによって③や⑤の様に自然と丸まっていきます。
ここの作業が甲手の頭を丸くしておさまりをよくします。
ただミシンであれば30秒あれば十分なところですが、自分の仕事スピードでも縫いつけだけで7分30秒弱、糸をよる手間等を含めると10分弱かかってしまいます。
しかし手間をかけた分だけ⑥の様に毛詰め前の状態で甲手が丸まります。
うちの甲手の作り方の悩みどころは甲手の完成度を求めると生産性が落ちてしまう事です。
さらに市場に出回っている甲手の価格が日本で作るのを前提としていないので、価格を抑え目につけて利益を少なくしても、相対的に非常に高価なものという認識を持たれていることが、日本で剣道具を作ることを難しくしています。
②に続く
*写真は作業順に番号がふってあります。