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剣道具考察 ①いい剣道具とは?〜剣道具作りの視点から〜
2022.02.14

「いい道具とはなんですか?」たまに受ける質問です。

この問いは剣道家にとってか、それとも剣道具作りとしてかによって答えが違ってきます。

剣道家にとってなら「自分の追求する動きを可能とするもの、または使い易いもの、自分の要求を満たすものがいい道具ではないでしょうか」とお答えします。残念ながらその場合うちの道具がその人にとっていい道具ではない場合もあります。

剣道具作りの立場から考えた場合、もう少し複雑になります。

他の人が作った良い仕事の道具をみて「良い道具ですね」ということはありますが、余程の自信家または余程の自信作でなければ自分の作ったものを「良い道具です」とは言えないと思います。それは、道具は人に評価してもらって初めて存在が認めてもらえるものだと思うからです。そういう意味では道具に評価を与える、その評価を世間に発信するということは、存在が大きくなるほど非常に責任のあることだと思います。

個人的に作る側から考える「良い仕事の剣道具」というものはあります。
もちろん最高の材料を使い持てる技術の全てを注いで作れれば理想でしょうが、仕事ですので必ずしもそう出来るとは限りません。予算があり材料も必ずしも最高の物を使えるわけではありません。一般には「これぞ職人技!」と思われる様な細かい縫い目の技術などが想像されがちですが、自分の考える良い仕事は材料に合わせた仕事をすることだと考えています。

また物作りにおいては必ずその物のコンセプトがあります。もちろん剣道具にもコンセプトがあり、その剣道具がどんなコンセプトで作られているかを知る事も、自分にとって良い道具に巡り合う為の大事な要素だと思います。

自分にとって良い剣道具に巡り合うためにも、自分にとっての「剣道とは?」とよく考えていただきそれに合うコンセプトの剣道具を探してもらえればと思います。

*本来剣道具作りにおいてキリもない数のコンセプトが出てはいけないと思っています。ただ現実は数多くのコンセプトが存在しています。その原因は「剣道具の定義」が確立されてない為だと考えます。剣道具作りのコンセプトにおいて「剣道具の定義」は非常に重要なことなので考えがまとまったら書いていきます。